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国産材コラム

元気出してゆこう

朴訥の論

銀行や取引先の営業マンなど来訪者の全てがコロナウイルスによる不況を口にし、いかに社会が疲弊しているかを語る。聞く方まで沈みそうになるが、そんな時、ふと思い出す歌がある。

 

「元気出してゆこう、声かけあってゆこう」

 

平成6年10月に開催した『第1回・森のコンサート』でのことだった。コンサートを企画した故・前理事長竹中東吉氏は20年近く患っていた糖尿病からくる心不全が原因で、開催を待たずして2日前に亡くなった。身内のみで荼毘に付し、開催当日に河島英五さん(歌手)にそのことを告げ、併せて1,000人会場に500人の集客しかできなかったことを詫びた。

 

しばし絶句された後、「どう言っていいのか分かりませんが、兎に角精一杯歌いましょう」

 

幕間に河島さんと対談したいと言っていた主を失った車椅子は、真っ赤なバラを抱き舞台の袖で聞いていた。

 

公演は2時間半を遥かに超えエネルギーを絞り出すような歌声は観客を魅了し、全員総立ちの「元気出してゆこう」の大合唱は、観客率50%と思えない熱気と興奮に包まれた。あたかもカンフル注射を打ったように、それまで沈んでいたスタッフの表情にも光が射した。

 

3か月後に発生した阪神・淡路大震災はダブルパンチだったが、あれから25年、困難が起きるたびに当時を思い出し「元気出してゆこう」が喝を与え続けている。

 

当初これ程まで大きくならないと思われたコロナウイルス騒動は、ジャブの様にジワジワと効き世界経済をも揺るがしている。オリンピックも絡み国も躍起となっているが快刀乱麻を絶つようにはいきそうにない。

 

 

話は変わるが、消費税増税後の新築やリフォームに対し一定の性能を有した場合、商品と交換できる次世代住宅ポイントが設けられている。

 

一応、お施主さん自らの申請とはしているが、手続きが煩雑で工務店に任されることになる。期限が短い上に内容を確かめるにも電話が繋がらず、担当者のストレスは溜まる。

 

指定商品を還元することが良いとも思えず、支援金を生活費に充てたとして何の不都合があるのか疑問に思う。窮する人への支援であればその人の立場に立って考えるのが当然と思えるのだが…。

 

今回も何らかの経済支援をというのであれば単純明快な施策を願いたいものだ。

 

「こせこせするな、くよくよするな、青空に鯉のぼり」

 

(「木族」2020年4月号より)

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