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国産材コラム

時代が変わるとも

朴訥の論

昭和から平成へと35年間、国産材の啓蒙活動として木造住宅講座を行ってきた。

 

運動を立ち上げた昭和59年頃は杜撰(ずさん)な施工も多く、基礎や構造を重視し、キッチン等の消耗品は予算ができてから気に入ったものに差し替えれば良い、等と講座で話していたが…。

 

先日、この言葉を覆すような話をうかがった。

 

多忙な主婦にとってはストレスも多く、日々の整理が追い付かないままに食料を買い足し、いつの間にか溜まった調味料に唖然とした経験はないだろうか。

 

先日、台所をメインに念願のリフォームをされた方にお話をうかがった。丸一日台所に立っても足の疲れはなく、とにかく毎日が快適で、外食より自宅での食事が増えた。整理された食品棚はどこに何があるか即わかり、食品の無駄買いも無くなり、明らかにエンゲル係数は減っているそうだ。「住まいってバカにできないですね、性格まで良くなった気がします」と笑っておられた。

 

設計者とのコミュニケーションが上手く行き、使い勝手や収納量など明確に伝わった結果、暮らしにあった動線も得られたのであろう。それにしても性格まで良くなるという表現に感銘を受けた。

 

また、ウッドデッキをやり替えた方は、毎朝、デッキでモーニングコーヒーを楽しみ、ウッドデッキを通じて友人や近隣の方と交流を深めていると聞く。

 

 

近年リフォームをする方も多いが、漠然と取り組む人は無く、どの方もそれぞれ何をしたいか具体的な目的を持って臨まれている。

 

 

「笑わないでくださいね、この年になるまで何一つ決めたことがなかったんですが、主人が亡くなり、初めてこのリフォームをやろうと自分で決断し、やれたことがとても嬉しくて、私やるやんと思いました」と語るのは70歳代の女性だ。「杉の床板にペタリと座りジッと板を見ていると杉が語り掛けるように感じます。これから又、新しい道が開ける、そんな期待が持てました」

 

完成後の訪問でどの方も輝いているのは、その達成感からだろうか。令和という新時代、住いも変遷するだろうが、いつの時代であれ変わらないのは、その中での家族が成長し巣立ち、また成長が繰り返されることだろう。

 

それにしてもリフォームがそれぞれに与える影響力は家の変化に留まらず、人の心に大きな活力を与えていることに驚かされる。そんなお手伝いができる喜びを持ち続ける建築士でありたい。

 

(「木族」2019年6月号より)

 

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