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国産材コラム

どんぐりの森に

朴訥の論

梅雨明け間近の日に高知県梼原町への山林視察ツアーに参加した(主催・自然の住まい協議会)。参加者はコープ自然派の各地域で活動する自然の住まい協議会の担当理事さん達。今回の目的は、4月号「再造林のゆくえ」で紹介した梼原の「地域おこし協力隊」の造林チーム「きりかぶ」のメンバーにお会いし、再造林の構想と植林の現場を視察する為だ。

 

現在のきりかぶ隊メンバー6名では活動に制約もあり、出来れば自然の住まい協議会の協力を求めたいという。実際の植林現場は勾配もきつく素人が作業するには危険を伴う。経験のない都会人に果たしてどれほどの手伝いができるか2日をかけ、みっちり話し合いが行われた。

 

様々な意見や提案が出され、取っ掛かりとしてコープ自然派の会員さんに協力者を募り、50年、100年を見据えた広葉樹の森づくりを目指し、ドングリの苗を育ててもらい、その苗の植林を「きりかぶ」隊が行うという案が検討されることになった。

 

急峻な山に這うようにして行う植林は手作業のため、林業機械を用いて行う伐採とは比較にならないほどの肉体労働を要し、地拵えから始まる植林・育林を選択する人は少なくなっている。

 

皆伐時に高性能機械で伐採・集材から地拵えまで行う機械があるというが小規模の予算で賄えるものではない。

 

「きりかぶ」隊の熱い思いに、なりふり構わず行ってきた40年間の活動が重なった。広く国産材に興味をもってもらおうと各地の森林組合や林業家と連携し、伐採体験や植林体験などで参加者を募り山に導いた。林産地も何とか活路を見出そうと協力を惜しまず快く受け入れてくれた。それぞれが工夫を凝らし山林に簡易トイレを設けたり、豚汁やぜんざいを振舞ってくれたりもした。

 

ただ残念なことは、こちらの力不足もあり、地域の労力に報いるほどの実績には繋がらず、林地の方々の手を煩わす結果に申し訳なさがつのった。

 

昭和59年から始まった国有林の分収育林(みどりのオーナー制度)を倣って、あちこちの山林で名札を付けた樹木を見かけたが、数年で記憶の隅に追いやられた状態になっていた。

 

50年はとてつもなく永い。やり続けるにはバカかと思われる程の粘り強さが求められる。若いエネルギーに溢れた「きりかぶ」隊の情熱に一緒に乗ってみませんか。

 

(国産材住宅推進協会・代表=北山康子)

~2024年木族8月号より~

 

 

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