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国産材コラム

マンションどうする

朴訥の論

ゲリラ豪雨と灼熱の熱波で、コロナの退散を願うばかりですが、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

 

「この期間〇日~〇日まで、車庫のメンテナンスのため車の移動を願います」という案内が郵便受けに入っていた。

 

マンションも20年を過ぎると次から次とメンテナンスが押し寄せる。築15年頃に外壁塗装の改修工事に始まり、経年劣化と共にメンテナンス工事は加速する。一般にマンションの耐用年数は50年前後と言われているが、給排水などの設備配管は30~35年とマンション本体より短く、取り換えが簡単な状況ならいいが、コンクリートの中に埋まっていれば、困難を極める。

 

自宅マンションも20年を過ぎる頃から入居者の出入りが激しくなり、知らない顔を見ることが多くなった。管理費の増額を検討する議案は抑え気味の額で決定したが、誰しも高い管理費は望まないものの先々の負担増は気になるところだ。

 

 

現在、既存マンションは590万戸あり、そのうち旧耐震基準は106万戸あると聞く。南海トラフや首都直下など巨大地震が懸念される今、耐震性不足のマンション入居者は気が気ではないだろう。

 

入居者の80%の同意があれば建て替えは可能というが、高齢者も増加し、収入も家族構成も違う世帯を取りまとめるのは並大抵のことではない。国は建て替えを促進するため高さ制限などの規制緩和を計るとしているが、建て替えに至るまでには相当の労力と時間を要する。

とりもなおさずマンションを終の棲家とするには、耐久性とメンテナンス性の向上を図るしかなさそうだ。

 

耐久性の強化と見える化を図るため1~3等級で表し、3等級を75~90年、2等級を50~60年、1等級は基準法通りとしているが、人の寿命も向上している今、せめて2世代が住み継げる耐力は保持して欲しいものだ。

 

今、マンションの居住性を求め国産材でリフォームを望む人が増えている。鉄筋コンクリートでは得られない居住性を求めてのことだろう。

 

九州大学でスギ無垢板の抗ウイルス(インフルエンザ)効果を実証した結果、新建材(樹脂建材)と比較してウイルス感染力を99.9%低下させる効果ありと公表している。

年々激化する環境の変化に対応し、酷暑を少しでも凌ぎやすくする手立てとして、杉の働きに期待するところは大きい。

 

(「木族」2021年8月号より)

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