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2026.02.02

ありがとう

年が明けたものの社会情勢の落ち着かない日々が続いています。せめてハートを強く豊かに鍛え、この世相を乗り越えていきたいものです。

 

誰に限らず人を叱るのは難しく、上手に叱れる人になかなかお目にかからない。疑問点や間違いを正し、言いたいことをはっきり伝えピシリと釘をさすが嫌味もなく、尾を引かず、平常心に会話を戻すことができる、そんな人に稀(まれ)に出会った。何が大切かを冷静に判断し、相手の本質を見極める能力も備えておられるのであろう。真似したくてもおいそれとはできそうにない。

 

𠮟ると怒るは似て非なるものがある。建築会社で働きだしたころ、設計部長から設計図のコピーを頼まれた。当時、設計図はトレーシングペーパーに手書きが一般的で、コピー機で複写するが、紙が薄い上にコピー機の性能も今ほど良くはなく、ローラーにペーパーが絡まり破れてしまった。間髪入れず、部長から怒鳴られ委縮したハートは何度も同じ失敗を引き起こした。

 

立場が変わると分からないでもないが、委縮させてはスムーズにことが運ぶとも思えない。見方を変えると不器用な人なのかもしれないが、怒鳴るという形でしか表現できないのは気の毒である。人使いが上手な人には必ず相手を思いやる労(ねぎら)いの言葉と感謝の「ありがとう」がある。

 

以前、増改築のお施主さんから一度現場に来て欲しいと連絡があり訪ねた。ところがお施主さんは不在で、テーブルにメモ書きが残されていた。

「お待ちしていましたが、うっかりこの日の約束を孫としており、お目にかかれなくて・・・日々美しくなっていく部屋を見せてもらって、唯々言葉になりません。文句の多い私に答えてくださった皆様に感謝しています。ありがとうございます。取り急ぎメモまで」とあった。

 

何か問題でも、と出向いた現場であったが、思わぬ言葉に胸が熱くなった。手書きの文字の持つやさしさと、奥深さを改めて感じた。

 

昨年より、リフォーム、新築に関わらず、引渡し後にアンケートを出していただいている。計画から完成まで長期にわたる工程の中で、疑問や不都合がなかったかを知りたくて始めたものだ。

 

どれを拝読しても、短い文の中に真摯に向き合い書いて頂いたことが伝わり、手前勝手だが応援をいただいたようにさえ感じる。

 

苦言も称賛も、一文も漏らさず、今後の活動に生かしていきたい。

 

感謝を込めて・・・

 

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